発達障害の人のための仕事探し。「障害者雇用」や「就労支援移行」など就活で知っておきたい基礎知識はこれ。

心のケア
臨床心理士
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発達障害のある人は、短期間で仕事を辞める傾向があります。結果的に経済状況などが不安定になりやすいので、早めに役立ちそうな情報をチェックしておきましょう。

就活で大事なのは“自分を分析すること”

臨床心理士
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発達障害の有無にかかわらず、就活では自己分析がとても重要です

就活のための自己分析

誰にとっても基本の自己分析
・自分は何が好きなのか?何に興味があるのか?
・長所・短所/得意・不得意
・自分なりに工夫・努力した(している)ところ
・5年後、10年後にどうなっていたい?
・転勤や異動、勤務場所、働く時間への希望

発達障害の方がプラスして分析しておきたいこと
・働く準備はできているか?(生活リズム、コミュニケーション、金銭管理等)
・障害特性は何か?(伝えるのが苦手、不注意、集中力が続かない等)
・受けたい配慮はあるか?(勤務時間の制限、伝達の工夫、ツールの使用等)

臨床心理士
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自己分析が終わったら、その情報をもとに
①一般雇用で働く
or ②障害者雇用で働く
or ③しっかり働けるように準備期間をとる
の3つについて検討していきましょう

検討の順番

まずは①一般的な就活(一般雇用)を検討 
難しそうなら → ②障害者枠で就活(障害者雇用)検討
それも難しそうなら → ③しっかり働けるように準備期間をとる

この順で段階的に検討していくといいですよ

①一般雇用(一般枠)を検討

臨床心理士
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発達障害があっても、一般雇用(通常の配慮のない雇用)で働いている人は沢山います。

最初から障害者枠で就活するのではなく、一般枠で就活する方も多いです。一般枠で、できるだけ長く仕事を続けていくには、自分の発達特性や能力に合わせた仕事を選ぶといいでしょう。自分の発達特性を無視して仕事を決めると、失敗体験、挫折体験につながりやすいので、まずは自分に合いそうな仕事から見ていくといいですよ。

ADHDの人に向いている仕事は?

・ADHD=必ずこの仕事が良い、と一概には言えませんが、“命に関わる仕事”は避けるといいでしょう。精密さ、正確性を求められる仕事も負担になりやすいです。ADHDの特性を活かして、下のような仕事についている人もいますので参考にしてください。ADHDといっても人によって特性や能力が違いますので、自分の場合はどうなのか考えてみてくださいね。

発想が豊か → アイディアを活かせる自由業(マンガ家、デザイナー、職人、YouTuber、芸能人、アーティストなど)

飽きやすいが勉強は得意 → プロジェクト等で仕事内容が変わる、知的好奇心が満たされやすい仕事(コンサル、シンクタンクなど)

話すのが好き/得意 → 営業など 

身体を動かすのが好き/得意 → 飲食業、引っ越しなど肉体労働、スポーツマン、ダンサー、スポーツ・インストラクター、農林水産業など

ASDの人に向いている仕事は?

ASD=必ずこの仕事が良い、と一概に言えませんが、“接客業など人とのコミュニケーションが求められる仕事”は避けた方がトラブルになりにくいでしょう。ASDの特性を活かして、下のような仕事についている人もいますので参考にして下さい。

臨床心理士
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ASDの方ご本人は、接客が苦手と気づいておらず、むしろ挑戦してみたいと言う方もいらっしゃいます。接客に興味のある方は、就活前に、アルバイトやインターンシップを経験して適性を確認しておきましょう。


決められた作業を真面目にできる  → 一般事務、SE、エンジニア、プログラマーなど

興味のあることを深く追求でき、勉強も得意 → 研究者、医師(医師の場合は避けた方がいい仕事内容も有り)など

他の人とは違う感じ方や認知ができる → 職人、アーティスト、動植物関係など

規則性が好き、並べるのが得意 → 工場、宅配関係、物品管理など

臨床心理士
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自分に合っている仕事であっても、一般枠ではしっかりした配慮が期待できません。その場合は、働くハードルを下げるために、障害者枠を検討してみましょう。

②障害者雇用(障害者枠)で働く

障害者雇用は就労時間や周囲の理解を得やすい環境など、障害特性への配慮が行われる雇用形態です。

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障害者雇用の場合、配慮が受けられるので社会に出るファースト・ステップとしての安心感は高いでしょう。

なお企業は法律(障害者雇用促進法)によって障害者を雇用する義務をおっており、民間企業(労働者数45.5人以上の規模)は2.3%の障害者を雇う必要があります。

配慮の例

・就労時間に対する配慮
・業務内容を限定するといった業務内容に対する配慮
・設備面での配慮

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一般雇用と障害者雇用の比較をしてみましょう

  一般雇用 障害者雇用
職種 色々選べる 一般事務や軽作業に限定されやすい
勤務時間 フルタイムが基本 フルタイムと短時間勤務がある
メリット こちらがスタンダード 合理的配慮がある →無理しないで済む →長く勤められる
長い目で見ると経済的/精神的な安定につながりやすい
デメリット 合理的配慮が期待できない ・契約職員からスタートが多い(何年か後、働いているうちに正職員に登用されることもある)
・給与などの報酬が一般雇用より低くなりやすい(変わらないところもある
・業務内容や待遇が変わりにくい(人によっては物足りなくなるかも)
採用枠 一般企業の一般雇用枠 一般企業の障害者雇用枠、特例子会社・雇用枠
手帳 あっても無くても良い 必須

障害者雇用に興味を持たれた方は、どうやって探せばいいか気になるかと思います。障害者雇用を探せる場所は公的機関、民間機関のどちらもあります。

障害者雇用の仕事探し・相談ができる場所

・障害者就業・生活支援センター
・地域障害者職業センター(例えば東京なら、東京障害者職業センター)
・障害者就労支援センター
・ハローワーク
・エージェント(ウェブ・サーナ、dodaチャレンジなど)

公的機関の活用の仕方は厚生労働省のサイトでチェックできます。

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なお、障害者雇用に応募するには障害者手帳が必要なので、障害者手帳についてもチェックしておきましょう

障害者手帳について

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厚生労働省の調査では、発達障害の人の手帳所持者数(精神)は、2011年に52,100人だったのに対し、2016年では108,000と2倍に増加しています。社会的に認知されるようになったこと、法律によりサポートを受けやすくなったことなどが増加要因と考えられます。

障害者手帳を取得すると、さまざまなサポートを受けることができるようになります。障害者手帳は3種類ありますが、知的障害のない発達障害の方の場合、「精神障害保健福祉手帳」を取得することになるでしょう。

3種類の障害者手帳

(簡易な呼び方)・・・(正式名称) 
①身体・・・・・・・「身体障害者手帳」

②知的・・・・・・・「療育手帳」← 知的障害を伴う場合はこちらも取得可
          (※自治体によって呼び方や取得できる基準が異なります)

③精神・・・・・・・「精神障害者保健福祉手帳」  ← 発達障害の人が取得

手帳を取得するには、発達障害の診断ができる医療機関で診断を受ける必要があります。ここで注意したいのは、申請するには医療機関の初診日から6ヶ月経過している必要があるということです。

精神障害者保健福祉手帳の等級は、精神疾患の状態と能力障害の状態の両面から総合的に判断され、1級から3級まであります。

障害者手帳を持っているデメリットは?

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「障害者手帳を持っている」と自分で言わなければ、取得していてもバレません。不安になりすぎず、使えるものは積極的に活用してきましょう。

デメリットをあえていうなら、気持ちの問題です。取得時は複雑な気持ちになってしまうかもしれませんが、それ以外に障害者手帳を持つことで大きなデメリットはないと言えるでしょう。

③就労移行支援を使う

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今すぐの就職はハードルが高いと思う場合、「就労移行支援」を使って、時間をかけて働く準備をしていきましょう。「就労移行支援」は福祉サービスの一つであり、就労のための訓練、就活、そして定着支援を受けることができます。

就労移行支援とは


就労移行支援事業所を使う
障害者手帳は必須ではない。ただし「障害福祉サービス受給者証」(受給者証)は必要。就労移行支援事業所で体験・説明を受けると必要なものや申請の方法などを教えてくれる。必要に応じて事業所のスタッフが一緒に医療機関に行ってサポートしてくれるところもある。
・ビジネスマナーやコミュニケーションの手法などの基礎訓練を受けることができる。
・就活時には配慮を重視した求人が多め
・利用中の収入はないものの、条件によって無料(多くの人が無料)で使え、交通費助成、お弁当サービスを受けられるところもある。

<就労移行支援の支援内容>

  1. 職業訓練(事業所内作業、講座、企業実習など)
  2. 就活支援(求人選定、選考フォローなど)
  3. 定着支援(職場訪問など)

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発達障害に特化した就労移行支援事業所といえば、ジョブトレKaienが代表的です(他も増えてきています)。

ジョブトレ

atGP(アットジーピー)の「ジョブトレ発達障害コース」の特徴

発達障害に特化した事業所のため、グループワークで同じ障害の人と意見を交わしたり、悩みを相談しあう中で、自分の障害や対策への理解を深めることができます。
・atGPサービス全体の取引企業は2000社以上と多いです。
・atGPジョブトレの1事業所あたりの平均年間就職人数24名と多いです(全国の就労移行支援事業所の平均3.4人の7倍)。
・さらに、就職後の職場定着率も91.4%と高いです。
発達障害の方が職場でつまずきやすいビジネスコミュニケーションや仕事の進め方に注力してトレーニングを実施しています。
疑似職場で事務職を想定したトレーニングができるので、場面に応じた生きたスキルが身につきます。
・事務職での就職率は94.5%。

職場定着率91%!発達障害専門の就労移行支援【atGPジョブトレ 発達障害コース】

Kaien

Kaien(カイエン)

・利用者には就業経験者が多めです。
就職後一年後の職場定着率も90%以上と高いです。
1事業所あたり年間就職者は15名以上と多いです。
・利用当初は「PC練習」「ビジネススキル講座」「個人単位での職業訓練」をメインに。徐々に「グループワークでの職業訓練」や「就活講座」を増やして就活力を高めます。
・実習や面接会の参加を経て、多くの方が半年~1年で複数の内定を獲得します。

合う、合わないがあるので、両方をまずは体験することをお勧めします。スタッフの感じだけでなく、自分にとってどちらが使い勝手がいいサービスか比較して、自分に合った方を選ぶといいでしょう。

おすすめの本

発達障害があると、就活の準備で見落としがあるのではないかと不安になるかもしれません。こちらの本は、発達障害のある人に役立ちそうな情報だけでなく、「エントリーシートを書いてみよう」「自己PR文を書こうと思っても、自分のいいところが見つからない」「電話をかける際のマナーとは?」など発達障害がない人にとっても、就活の基本的なポイントが押さえられるようになっています。

在学中からじっくり対策するなら

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発達障害のある大学生や専門学校の学生が、スムーズに卒業、就職を目指す場合、Kaien「ガクプロ」を使うという方法があります。ただし月2回〜で12,100円〜と料金がかかります。

大学によっては、(ほとんど)無料で発達障害のある学生のためにプログラムを提供しているところもあります。大学にある保健室、学生相談室、障害学生支援室などで情報を聞いてみるといいでしょう。

学生向けプログラム(Kaien)

Kaien「ガクプロ」について

対象:発達障害やグレーゾーンの学生
内容:大学や専門学校に通いながら、プログラムを受けることができます。
プログラムには「カレッジ講座」「ライフスキル講座」「就活講座」「サークル活動」があります。

「ガクプロ」のプログラム


「カレッジ講座」・・・単位取得、試験対策、レポートの書き方等について学べます
「ライフスキル講座」・・・コミュニケーションの取り方、お金の管理、感情のコントロールといった事柄について学べます
「就活講座」・・・一般枠、障害者枠のどちらにも対応した就職活動について学べます
「サークル活動」・・・“ブックレビューの会”など、似たような興味を持つ先輩達と知り合える場所です

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